Feb 26, 2005
廃される空(1997.6.24)
この空は
捨てられつつある
廃港の
水際には前には指が漂着していたものだし
その数年前には
ポリエチレン袋が
もっと昔には木片が着いてた
港や空
地表が酸で溶けていると思ったのは
もう間違いだったかもしれない
廃市がいくぶんか
旅の気分を誘うときは
酸で溶け
廃市が
ネガに変容しきて
旅人はもう身の置き場もなく
無人の駅のベンチに座る男は
そのまますっきりと落ちていく
廃された街が
また廃された街にネストされ
ただ男の画像だけが
捨てられる空に
ぼうぼうと
走っている
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