Feb 26, 2005

梅干し(1999.10.26)


かすかに
紫蘇のにおいがただよう芝生の上
むしろの上のあの
揉みこんだ赤い照葉の名残だ
字は知らないが
草の名はすべて知っているあの人は
空のどこかにいる

大きなちくちくした繊毛のある冬瓜が
電線を伝ってずいぶん上のほうに成っている

「梅干しはね
三日三晩干すの
昼間しわくちゃになるの」

そしてすべての梅は朝露を吸う
すると露を吸い
膨らみ
昼間
また皺になる

「でね
ひっくり返すの
一つ一つ」

ぱたぱたぱたぱた
喫茶店のテーブルの上
すばやく見えない梅を
ひっくり返す
ぱたぱたぱた

「そうじゃなくてこうよ」

Posted at 09:39 in poem | WriteBacks (0) | Edit
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