個人誌・同人誌情報
<file No.2>
●発行者のアドレス情報は管理人までメールでお問い合わせください。
個人誌『rain tree』
同人誌『colour』
個人誌『ぺらぺら』
個人誌『部分』
同人誌『Intrigue』
同人誌『布』
同人誌『n』
同人誌『長帽子』
個人誌『音響家族』
同人誌『結婚式場』
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誌名「rain tree」(個人誌)
発行者(問い合わせ先) 関富士子
創刊年月日 1997年9月25日
発行間隔 季刊
最新号の発行日 2006年9月29日(通算30号)
最新号の執筆者 関富士子
最新号の内容 詩1篇、
〈詩を読む〉「宮澤賢治「小岩井農場」の登場人物たち�@」
エッセイ「雨の木の下で」
詩誌の形態 A3判1枚八つ折裏表
自宅コピー機とプリントごっこで印刷した純手作り。
配布形態 郵送のみ
定価(送料も) 80円+送料80円
発行部数 200部
バックナンバー 全号あります。
次号予告 ....
***
発行者コメント
詩のサイト"rain tree"の紙版。ネット版から詩・詩評
エッセイのうち新作のみを掲載しています。詩作品は
毎号ゲスト1名を迎えます。編集・発行人の関富士子が
参加依頼をしています。ネット版は毎週更新しています。
桐田真輔さんをはじめ、たくさんの方が参加しています。
遊びにおいでください。
(情報記載・2006年10月)
それが目のすみを一瞬通り過ぎたとき、
何かただならぬもの、
異様なものが、
いる、
と感じた。
何かが声を出さずに叫んでいる?
物ではなく生きているもの、
人間?
なぜそう感じたのだろう。
わたしはちらっと振り返り、ゆっくりと自転車を停めた。全身
をがんじがらめに縛られ、春の強風にあおられて、のけぞるよ
うに揺れていた。それは一本の木だった。細く裂けた白いビニ
ルテープが、幹から枝の先まで、クモの巣のようにみっしりと
巻きついて、ちぎれた端がいっせいに風の行くほうへなびき、
隣のブロック塀の上の有刺鉄線に絡まっている。木は、工場ら
しい建物の、アクリルトタンの波打った壁に添うようにして立
っていた。わたしはひどく嫌なものを見た気がした。だからす
ぐに目をそむけて再び自転車を走らせた。
なぜあれはあんなヒドイメに、
あっているのか?
いったいいつから叫び続けているのか。
何かの罰か。
この道を通るすべての人へのあてつけ、
だろうか。
わたしの行く手には市民農園があるはずで、役所で借りる手続
きをしたばかりだ。倉庫群に囲まれた路地を曲がると、良いに
おいの黒土が広がっていた。苗床に芽が密生している畑もあ
る。わたしは自分の名札のある区画を見つけ、作業に取りかか
った。消石灰を撒いて、スコップで土を掘り起こす。これから
育てるだろう野菜のことを考える。その前に畦を作り肥料を施
さねばならない。小一時間も耕すと気持ちよく汗をかいた。帰
り道に、わたしは再びその異様なもののそばを通りかかった。
その木を見まいとしたが、できなかった。
高さ三メートルほど。
ほっそりとした幹。
若い女の裸のような。
近づいてよく見ると、裸と思った枝のあちこちに木の芽がいっ
ぱいにつき、ぎりぎり絡んだビニルテープのわずかな隙間か
ら、はみ出すようにして柔らかい艶のある葉を広げている。そ
してそのあちこちに、思いがけず大振りの花が咲いていた。
濃いピンクの五弁花。
葉の縁のバラに似た細いぎざぎざ。
棘のある枝。
幹の緑がかった褐色の肌。
この木をわたしは知っている。
カリン、花梨(カリン)だった。
関富士子「緊縛の木」より
「rain tree」no.30所収
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誌名「colour」(同人誌)
発行者(問い合わせ先) ヤリタミサコ方colourの会
創刊年月日 1995年6月30日
発行間隔 年1回
最新号の発行日 2003年6月28日(通算9号)
最新号の執筆者 藤原スミエ ヤリタミサコ 大園由美子
濱條智里 秋山千代子 水根たみ 中西邦春
常木みや子 藤富保男 松井久子 関富士子
荒井隆明 栗田雅祥 淺井倫子 佐藤詠子
榎本光子 山本テオ
最新号の内容 17編の短いエッセイ
詩誌の形態 定型封筒にちょうど収まる大きさ
配布形態 郵送のみ
定価(送料も) 無料+送料80円切手1枚
発行部数 140部
バックナンバー 3号以外は少しずつあります。
次号予告 ...
***
発行者コメント
月一回、藤富保男氏を中心に集まった詩の勉強会に提出
した文章から編んだ文集です。800字ほどの短いエッ
セイを収めています。6号は詩も入れました。次号から
さらに判型や内容を新しくし、内容を充実させていく予
定です。
(情報記載・2003年7月)
...
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誌名「ぺらぺら」(個人誌)
発行者(問い合わせ先) 足立和夫
〒166-0011東京都杉並区梅里2-25-13-1010
tel/fax o3-3317-1239
創刊年月日 1995年8月1日
発行間隔 決めてません。(季刊の看板は降ろしました)
最新号の発行日 2003年10月20日(通算9号)
最新号の執筆者 金井雄二 田中宏輔 桐田真輔 足立和夫
根石千代(表紙画)
最新号の内容 詩7編
詩誌の形態 A5版 20頁
配布形態 とりあえず詩人の方に送っています。
ご希望があればお送りいたします。
定価(送料も) 無料
発行部数 およそ290部位
バックナンバー 若干あります。
次号予告 ...
ゲスト 未定
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発行者コメント
多くのひとに読まれたい。そして多くの詩を読まなければ。
(情報記載・2003年10月)
奇妙な空のなか
足立和夫
文机にころがるボールペン
紅茶カップ
お箸と皿
こんな小物からはじまり
世界の果てまで
欠片でつながっている
苛酷な空すら
途中である
不気味なつながり
つながりの後先には
終わりがないことを
われわれは知っている
思わず
奇妙な孤独に
嘔吐する
つながりのすべてに
意味がないことに
われわれの存在にも
すべては
ただ放置されているだけ
ここも
あそこも
ただ在るだけ
ただそれだけ
なにもないところで
ぼくは
草のように
世界を喰っている
「ぺらぺら」9号所収
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誌名「部分」(個人誌)
発行者(問い合わせ先) 三井喬子
創刊年月日 1997年10月
発行間隔 4ヶ月に一回
最新号の発行日 2014年2月(通算51号)
最新号の執筆者 三井喬子
最新号の内容 詩4編
詩誌の形態 A5版 10~14頁(寄稿者1~2名)
配布形態 郵送。
定価(送料も) 120円(送料込み)
発行部数 150部(個人のため増部は不可能です)
バックナンバー 10,11,12,13,14号のみ、残部僅かにあります。
次号予告 ...
(未刊のため、寄稿者名はヒミツ)
***
発行者コメント
とにかく豪華な寄稿者、それにつきる。
毎号どきどきして依頼の手紙を書いています。
当地方の他誌と競合しない誌面造りを心がけ
ましたら、現在の形に落ち着きました。
「部分」は金沢市で発行。
(情報記載・2014年2月)
咳をするモノ
三井喬子
北側の部屋のカレンダーが
揺れて小さな悲鳴をあげる
と
乾いた硝子体を
不透明なモノが走り抜ける
壁に長い傷をつけて
ガラス戸越しのサクラです
光のあたった東側の
壁の上部に刻まれた 午後三時
逃げだした妹の
斜めの脚がきらきらきら
飼い犬のシロかもしれないが
妹かもしれない
窓ガラスを震わせて
おねえちゃん! って呼んでいる
おねえちゃんは忙しいの
昨日から走っているのよ
あら 走っているのはワタシよ
ボクだよ ワン!
北側の部屋の湿気た布団の上に
咳をする身体がいる 傾いている春寒の
花 花 花 飛来する大陸
見ているのか 見られているのかは分からない
(「部分」51号所収)
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誌名「Intrigue」(同人誌)
問い合わせ先 川本真知子
創刊年月日 1996年12月20日
発行間隔 年2回
最新号の発行日 2002年7月(通算11号)
最新号の執筆者 恩地妃呂子、川本真知子、奥野雅子
<ゲスト>北條絢子、かわじまさよ、正山千夏
最新号の内容 同人と多彩なゲストによる詩。
特集 詩の宝物。
詩誌の形態 A5 53ページ
配布形態 池袋ぱろうる/メールにて通販も可
ご希望があればお送りいたします。
定価(送料も) 300円
(送料無料。ただし郵便振替手数料はご負担ねがいます)
発行部数 200部
バックナンバー 1,3,5号→いくらかあります
Web上にてバックナンバーすべて公開中
"川本真知子のホームページ"
次号予告 半年後に予定しています。
***
コメント
早稲田大学文芸専修で鈴木志郎康先生のもと現代詩を
学んでいた同窓生3人(奥野雅子、恩地妃呂子、川本
真知子)でつくる同人誌。
(情報記載・2002年8月)
ワールドトレードセンターは飽和して
次の時代が瓦礫の中で産声をあげている
廃墟には過去の亡骸とこれからの種が同居している
幸いなことに難をまぬがれたあたしたちもテレビのこちら側で
次にあそこに何を建てるべきかを考えなくてはいけない
信じる者の力が方向転換を迫る
貨幣の塔が倒れた理由をみんなはうすうす感付いている
たくさんのたましいの犠牲が歴史を勧めている
雨がずっと降り続いている
慈悲深い空が協力している
世界中で雨が降り続いている
あたしは雨の音を聞きながら台所で肉じゃがを煮ている
換気扇から漂うお醤油のにおいが遠く遠く太平洋を渡って
あたしの
これからの種を運んでいく
というばかばかしい空想が部屋をあたためて
窓という窓からオレンジ色の光を放ちはじめるころ
玄関で聞き慣れた足音がする
正山千夏「これからの種」より
「Intrigue」vol.11掲載
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誌名「布」(同人誌)
問い合わせ先 先田督裕
創刊年月日 1995年秋
発行間隔 季刊
最新号の発行日 2015年9月20日(通算32号)
最新号の執筆者 宮地智子
先田督裕 小網恵子 寺田美由記
杜みち子 阿蘇豊 大原千佳子
最新号の内容 詩作品(目次参照)
詩誌の形態 A5版 22ページ
手作りのささやかな冊子
配布形態 郵送
定価(送料も) 100円(送料120円)
発行部数 約400部
バックナンバー あり
次号予告 ...
***
コメント
たての詩(言葉や表現に重点を置いたと思われる
もの)よこの詩(内容や気持ちに重点を置いたと思
われるもの)一枚の詩(たて、よこ、両方が助け合
ってひとつの世界を創りあげているもの)詩をこん
なふうに簡単に言い切れることはできないのを知り
つつ、それでも同人が求めるものは一枚の詩である
と思われます。
(情報記載・2015年9月)
「布」32号目次
宮地智子「花をうたう 1」
先田督裕「池上の「養老の滝」で眞上博さんと飲んだ」
「二つのしあわせ」「仏と私」
小網恵子「森へ」
寺田美由記「明日の自分」
杜みち子「椅子」
阿蘇豊「レシート」「ソンザイカチ」
大原千佳子「たんぽぽ狩り」「季節」
ひとこと
課題詩「手紙」
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誌名「n」(同人誌)
問い合わせ先 山本かずこ
創刊年月日 1997年7月16日
発行間隔 年刊3冊
最新号の発行日 2003年4月28日(通算13号)
執筆者 根本明 石関善治郎
正木千恵子 山本かずこ
最新号の内容 詩作品+散文、小特集「山村暮鳥」
詩誌の形態 A5判 30頁
配布形態 ...
定価(送料別途) 500円(と一応頒価はありますが)
発行部数 約400部
バックナンバー 残部少し
次号予告 ...
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連絡人コメント
○毎回編集経験者を中心に編集人を持ち回りで設
定。部数はなぜか多いのですが、同人のうちの一
人二人をのぞいて誰も送っている気配がありませ
んので、できあがった詩誌の発送は個人的にはほ
とんどなされていないのが現状です。ですから、
見たこともないし、聞いたこともないという方が
多いのではないかと思います。
○同人は固定(のような雰囲気です)。
○1年に5回くらい、同人の集まりがあります。
出席率65%くらい。合評会はありません。去年
は真鶴へ小さな旅をしました。
(情報記載・2003年6月)
胃に訊いてみれば
食道につながる部分が
十二指腸につながるところが
くたびれて
ズツウがするのだよ
とうなだれる。
立派な大便をつくる
腸が
笑顔を支えて
いるといっても
その腸が笑う
「力なく」というやつだ。
船は
仁津の石の築港を出る
積んでいるのは
わたしと
わたしの国を支える
ヘロイン200キロと
武装としての機銃、機関砲
石関善治郎「坂道で」より
「n」13号所収
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誌名「長帽子」(同人誌)
問い合わせ先 山本楡美子
発行所:大田区東雪谷1-25-7望月方
「長帽子の会」
創刊年月日 1963年5月
発行間隔 年1回
最新号の発行日 2013年11月20日(通算75号)
同人 山本楡美子 望月昶孝
田村さと子 宮本むつみ 郷原宏
安宅夏夫 小畑祐三郎
最新号の内容 葛西冽 追悼特集
詩・翻訳詩・エッセイ・俳句
詩誌の形態 A5判 88頁
配布形態 郵送のみ
定価 800円
発行部数 350部
バックナンバー 61号のみ10冊残っています。
次号予告 ...
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コメント
ここ数年、同人メンバーが少しいれかわり、
変化しています。内容は詩、エッセイが中心
です。また、この6年ほど望月昶孝さんを宗匠
にみんなで俳句を作っています。一年に一回
秋の終り頃の発行です。
(山本記)
(情報記載・2013年12月)
莢をむく
山本楡美子
ことんと落ちる
廊下を歩くと一冊の本が崩れる
片付けが終わると木べらが落ちる
見知らぬ人が電話で訪ねて(フン!)という
夢中になっていると草がツンと伸びる
ぼくの後ろにいつも誰かがいるんだよ
三年生は訴える
やなんだよ
そのあとももっと聞けばよかった
どんなふうにいやなのか
恐いのか
気持ちが悪いのか
どんな人?
聞きなおせばよかった
空豆の莢をむく
うしろで(プツン)という
ふり返るとちょうど去ったところだ
手がぶれて
龍の豆は派手に散らばる
「長帽子」75号所収
TOP
誌名「音響家族」(個人誌)
問い合わせ先 小池昌代
創刊年月日 1995年2月20日
発行間隔 不定期刊行 年に1〜3回程
最新号の発行日 2000年11月15日(通算14号)
最新号の執筆者 小池昌代 関富士子(ゲスト)
最新号の内容 詩3編
詩誌の形態 B6判 12頁
配布形態 今のところ、郵送販売のみ。
定価 300円+郵送料(一冊につき120円)
切手可。
発行部数 10部〜30部(号数によって変動あり)
バックナンバー 1号〜12号まで、すべてあります。
次号予告 ....
***
発行者コメント
私自身の詩やエッセイのほか、毎号、ゲスト
を招き、詩を掲載しています。翻訳詩の紹介
もあります。表紙の絵や本文中のカットなど
は毎号新しく描き、全体のデザインや紙も、
そのたびに選びなおします。「物」としての
美しさを心がけた雑誌です。
(情報記載・2000年12月)
ベネチアの
秋の午後
古本屋のなかへ
一羽の白い鳥が迷いこんできた
くらい天井を
まだ 続きの青空と信じる勢いで
でも 不意に囚われに気付いたのだろうか
翼を折り
宙に静止した一瞬があった
この町では鳥が
本になったり
本が鳥に
なることがよくある
誰もが目を伏せて本を読む店内で
そのときあちこちの背表紙のかどが尖り
飛ぶ音にきき耳がたったのがわかった
小池昌代「木と鳥」より
「音響家族」14号所収
TOP
誌名「結婚式場」(同人誌)
詩誌を送ってくださっていた、
伊名康子さんが亡くなられました。
掲載してあるのは、
おおつぼ栄さん編集の20号の情報です。
伊名さんの詩8編が収録されています。
入手希望の方は、私宛にメールをくだされば、
おおつぼさんのご住所をお知らせします。
(04年7月 桐田・記)
創刊年月日 1997年8月1日
発行間隔 年3回あるいは4回
最新号の発行日 2004年7月20日(通算20号)
最新号の執筆者伊名康子 おおつぼ栄
最新号の内容 詩8篇、
(伊名康子特集号)
周辺から(あとがきにかえて)
詩誌の形態 B4 2枚大の紙版
配布形態 郵便のみ
定価 無料(送料80円)
発行部数 200部
バックナンバー 5号を除いて全部あります。
次号予告 ....
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発行者コメント
特にありません。今、在ることを感じる詩紙であり
たいとおもっていますが・・・
(情報記載・2004年7月)
「ゆき」
伊名康子
つめたいね とむすめの声がする
わたしが言ったのだ
つめたいね ゆき
それはすすきのわた毛
ばらばらの風に吹かれて
飛沫のように降ってくる
しっかりと目を閉じてむすめの手に縋る
引いていってもらうのだ
いっしょにいこうよ
さきもなにもみえないし
あらゆるものは落ちていくが
手をつないで
むすめの手と思って必死につかんだのは
わたしの手だった 骨のような手
数十年まえの手を握っていたのだ
わたしはわたしの手を
目をつむったまま握る
すすきの綿毛の降るなかで
指と指がからみあい
カサッと
かたちを失う
「結婚式場」20号所収
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